サウナと言えば、本場フィンランドが有名ですよね。
でも、フィンランドよりももっとサウナの原点を感じることのできる場所があるのをご存じでしょうか。
それは、エストニアのヴォル地方のスモークサウナ。
こちらのスモークサウナは、私たちの知っているサウナとは違う、ある重要な意味を持っているのです。
そこで今回は、ユネスコの無形文化遺産にも登録された、エストニアヴォル地方のスモークサウナについてご紹介したいと思います。
エストニアの無形文化遺産スモークサウナとは
スモークサウナとは室内を燻して煙で汗をかくサウナのことです。
煙突がないことが特徴で、煙が充満した室内は壁が黒く煤けて木の香りで満たされています。
日本のサウナのイメージよりは低温で、じっくりと汗を流すことができるのも特徴です。
まさに燻製人間になるような空間になっているんですね。
ヴォル地方のスモークサウナの伝統(Smoke sauna tradition in Voromaa)は、2014年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。
登録の対象は、スモークサウナに入ることだけではありません。
スモークサウナの建築方法、修理方法、入浴の準備や利用方法、サウナを使った肉の燻製調理など、スモークサウナに関するすべてのこと、その伝統を受けついでいく行為そのものを含んだ、「スモークサウナの伝統すべて」が無形文化遺産として認められたということなんです。
実はヴォル地方伝統のスモークサウナは、単に体を温めたり、銭湯のようにコミニュケーションをとるだけの場ではありません。
ヴォル伝統のサウナのもう一つの特徴についてさらに詳しくみていきましょう。
ヴォル地方伝統のスモークサウナの伝統とは
ヴォル地方の伝統的なスモークサウナは、スピリチュアルな儀式としての役割を持っています。
A hundred #facts about #Estonia: 91. The #Võru #smoke #sauna tradition is in the #UNESCO Intangible Cultural Heritage of Humanity list. The #tradition, “suidsusannakombõ”, is a part of the everyday life in a 75,000-strong inhabitation in southern Estonia. https://t.co/SKAcOGJeZi pic.twitter.com/59vYxRJIIc
— Estonian World (@EstonianWorld) February 21, 2019
古来からヴォル地方の人々にとって、スモークサウナは神聖で清潔な場でした。
そのため、昔からサウナの中で出産や看取りを行ってきたんだそうです。
サウナがパワースポット的な役割を持っていたってことかな。
つまり、スモークサウナに入ることは特別で神聖な行為であり、魂を清めたりスピリチュアルな体験ができる儀式だということ。
儀式の方法や内容は各家庭によって異なり、それぞれの家庭で門外不出の秘伝の儀式として受け継がれているんだそうです。
ヴォル地方では各家庭にスモークサウナを作ることが普通なので、それぞれの家庭のサウナごとにそれぞれの儀式が受け継がれているのです。
ヴォル地方には、サウナの数だけ儀式があるんですね。
また、ヴォル地方ではサウナに関する独特のマナーもあります。
家庭のサウナはプライベートな空間であるため、他人が中に入ったり見せてもらうには許可を得るのがマナーとされているんだとか。
もし頼まれても「見せたくないの~ごめんなさい!」というのもアリなんですって。
人のおうちなのですから当たり前と言えば当たり前ですけど、サウナはむやみに近づいてはいけない神聖な場所ということですね。
その一方、誰かからサウナを使わせてほしいという申し出があれば断ってはいけない、というマナーも同時にあるそうです。
一見矛盾しているようですが、神聖なサウナにむやみに人を入れることはできないが、寒さで困っている人には温かいサウナに入ってもらおうという、ヴォル式の礼儀なのでしょう。
寒さが厳しいエストニアヴォル地方では、サウナが最上のおもてなしであり、寒い冬を生き延びる手段なのですね。
スモークサウナでの儀式はどんなもの?
家庭によって秘密の儀式が受け継がれているヴォル地方のスモークサウナですが、その儀式とは具体的にどんなものなのでしょうか。
旅行者でも体験できるサウナもあるため、儀式に参加した人の口コミから一例をご紹介します。
1.サウナに入って身を清める
→休憩(池に入って湖畔で休憩)2.サウナに入って祈りを捧げる
→休憩(池に入って湖畔で休憩)
3.サウナに入ってお互いを労う
→休憩(池に入って湖畔で休憩)
4.サウナに入って感謝を表す
→休憩(池に入って湖畔で休憩)
この流れの中で途中に祈りの歌があったり、木の枝を使ったマッサージがあったり、内容はその時によっても変わってくるそうです。
サウナに何度も入りながら、お祈りをしたり浄化のためのセッションを受ける感じでしょうか。
サウナの後は、燻製したハムやチーズなどを使った食事をしたりもできるんだそうです。
汗とともに、身も心も浄化されそうですねW
終わりに
エストニアヴォル地方のスモークサウナについてご紹介してきました。
日本でサウナと言えば、銭湯的な位置づけで汗を流すだけなイメージでしたが、伝統サウナはスピリチュアルな儀式だったことに驚きました。
チャンスがあったらぜひ一度、スモークサウナで燻製になって心身を清めたいと思います( ´艸`)